「特許証」は、不動産の権利証みたいなもの? 失くすと大変なの?
特許出願して、審査を受け、特許の要件を満たすと認められると、特許査定がなされます。
その後、登録料という費用を特許庁に支払うと1か月ほどで、特許権が成立します。
そうすると、「特許証」が発行され、出願人に届きます。
この「特許証」は、どういう価値のあるものなのでしょうか
「特許証」はどんなもの?
特許証は、どんなものかというと、この画像の通りです。
黄色のA4の紙です。
少し厚い紙で、「特許証」と大きく書いてあります。
特許番号、発明の名称、特許権者の住所と名前、発明者の名前などが記載されています。
一番下に大きく特許庁長官の名前が印刷されています。
特許庁長官本人の直筆がプリントアウトされています。
(この直筆、何度も書き直して良くかけたものを採用するそうです)
特許庁長官は、だいたい1年で変わります。
「たった1年」です。
特許庁は、その前は特許局でした。特許庁になったのが、1949年。2024年1月時点で53代目の特許庁長官は、濱野幸一氏です。
したがって、特許証の発行時期によって、いろんな人の名前が書かれた特許証が存在します。
特許証の意味。どれほど重要なのか?
「特許証」というから、特許が取れたことを証明するものには違いありません。
しかし、土地の権利証のように重要なものだと勘違いしている人がいますが、この紙自体はそれほど重要ではありません。
賞状のようなものです。
土地の権利証ですと、ドラマでは、「家の権利証が無くなった!大変だ」「やくざが借金のかたに権利証を奪っていった」などと描かれます。
不動産の権利証は、その不動産の所有者を証明するとても大切なものです。権利証は失くしてしまうと、いかなる理由でも再発行はききませんので、厳重に保管しなければなりません。
額縁に入れて飾るようなものではありません。
一方で、特許権の所有者は、特許庁の「原簿」に記録されています。原簿を見れば、特許の権利者が誰かが分かります。
特許権は、譲渡ができますので、譲渡したことを特許庁に届け出れば、原簿の記載が書き換わります。
最新の権利者を確認したければ「原簿」を見なければなりません。
特許庁に対する手続きにおいて、「特許証」が必要になることはありません。
ハンコがいるくらいです。
また、特許権の所有者が変わっても、「特許証」が更新されることもありません。
「特許証」は、紛失した場合は再発行できますが、あくまで最初に発行されたものと同じです。
特許権が設定されたときの情報が載っているだけです。
それで、このことを悪用して騙す人がいます。
自分の名前が載っている「特許証」を見せて
「ほら、私が特許権の所有者です。これをあなたに譲渡しますので、お金をください。」
と持ちかけるのです。
実際は、特許権は他ののひとに譲渡していて、その人には何も権利は無かったりします。
弁護士さんでも、知財に詳しくないと、このこと知らないことがあります。
(弁理士さんは皆知っています。たぶん、99%くらい)
特許証は、賞状です。
上記のとおり、特に重要でもない「特許証」ではありますが、一方で、賞状のように、貰うと嬉しいものではあると思います。
特に個人の発明家の場合は嬉しいのではないでしょうか?
特許は誰もが取れるというわけではないので、取れたら「特許証」を額に入れて飾りましょう。
何と言っても「世界初」の発明をしたことが公の機関に認められた証しなのですから。
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