発明を特許権じゃなくて著作権で保護できるなんて言う人、詐欺ですね。
発明を特許権じゃなくて著作権で保護できるなんて信じちゃう人って、あまりにも情薄です。

知的財産という言葉は、だいぶ知られてきました。
しかし、結構、勘違いしている人がいます。
著作権で発明を保護できると勘違いしている人、結構いますね。
また、その勘違いを利用して、「発明を保護するために、著作権登録を請け負います」っていう詐欺的商売をしている怪しい組織。

あなたが被害にあわないために、今日は、そのことについてお話します。

著作権で保護できるもの

知財権って何?

「知的財産って何って」、聞かれて、どう答えるかで、その人の社会的なポジションが分かります。

あなたは、何を思い浮かべますか?

電子デバイスの製造とか、製薬会社とか、技術的な製品を作っている会社などに関わっている人は、知財といえば、真っ先に浮かぶのは「特許」ですね。

一方で、Webデザイナーとか、クリエーターとか、特にメーカー勤務でもなく、もっぱら、ネットサーフィンしたり、漫画とか雑誌とかを読んだりして、文化的な生活を送っている人からすると、知財といえば、「著作権」を思い浮かべるでしょうね。

どちらも間違いではありません。

知財権は、大きく2つに分けることができます。

ひとつは、産業財産権。もうひとつは、著作権です。

産業財産権には、特許権、実用新案権、意匠権、商標権があります。
産業の発達を狙った権利です。
産業財産権の管轄は特許庁です。

もうひとつは、文化の発展を狙った著作権です。
著作権では、著作物を保護します。著作物でなければ、一切保護しません。
著作権の管轄は文化庁です。

<著作物とは>

著作物とは、
「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定義されています。

この定義を読んだだけで、発明とかのアイデアは、対象外だなと思ったひとはかなり勘が鋭いですね。

著作物には、例えば、以下のものがあります。

言語の著作物 ・・・ 論文、小説、脚本、詩歌、俳句、講演など

音楽の著作物 ・・・ 楽曲及び楽曲を伴う歌詞

舞踊、無言劇の著作物 ・・・日本舞踊、バレエ、ダンスなどの舞踊やパントマイムの振り付け

美術の著作物・・・絵画、版画、彫刻、漫画、書、舞台装置など(美術工芸品も含む)

建築の著作物・・・芸術的な建造物(設計図は図形の著作物)

地図、図形の著作物・・・地図と学術的な図面、図表、模型など

映画の著作物・・・劇場用映画、テレビ映画、ビデオソフト、ゲームソフトなど

写真の著作物・・・写真、グラビアなど

これらは、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものなので、何となく分かり易いですね。

ほかにも、コンピュータプログラムも、プログラムの著作物と定められています。
プログラムが、「文芸、学術、美術又は音楽の範囲」に属するかというと、結構疑問ですが、保護の必要性から著作物と扱っているという感じでしょうか。
ただし、あくまで、プログラムのコードの部分であって、アルゴリズムなどの処理内容が著作物ということではありません。

著作物は、とにかく、表現された物自体です。そのなかのアイデアではありません。
例えば、推理小説は、その文章自体は、著作物ですが、その中にでてくる殺人トリックのアイデアは著作物ではありません。
ですので、他人の小説のなかの殺人トリックのアイデアを用いて小説を書いても、表現方法が異なれば、著作権侵害にはなりません。

難しいでしょうか??

難しい場合は、とりあえず、「発明は、著作権では保護できない」、ってことさえ覚えて頂ければ結構です。

著作権は、自動的に生まれます。登録の申請は必要ありません

日本は、ベルヌ条約という国際条約に加盟しております。
この条約によれば、著作物を創作した場合は、そのときに、自然に著作権が発生するということになっています。
したがって、特許権のように、どこかの機関に出願とか申請とかする必要はないのです。
審査もありません。

あなたが絵を描いたり、ブログで記事を書けば、その時点で、著作権が発生します。

ベルヌ条約の加盟国(ほとんどの国)は、お互いに著作権を尊重しています。
つまり、あなたのブログの記事は、アメリカでも保護されます。ヨーロッパでも、中国でも、韓国でも。
逆に、インドの人が書いたブログ記事にもそのインド人の著作権が発生しますから、ここが日本であっても、著作権を侵害してはいけません。
つまり、断りもなく、そのブログ記事を複製できません。

登録が必要ないのに、なぜ文化庁は登録を受け付けているのか?

このように、著作権は、登録しなくても良いのですが、登録しておくと後で立証が容易なので、登録制度が設けられております。
文化庁が著作物の登録を受け付けております。
しかし、文化庁は、他の民間団体に委託などはしておりません。
したがって、「著作物の登録をして証明書を発行しますよ」などという組織は、あやしい組織です。

いかなる場合も発明が著作権で保護できないか?

詐欺を働く人は、「うまくやれば、発明を著作権登録で保護できます」と宣伝しているようです。

例えば、
「発明の商品のパンフレットを著作権で保護しておけば、模倣者は、そのようなパンフレットを複製できないから、結果としてその商品を売ることができません。したがって、著作権登録をしましょう。」という言い方をするそうです。

確かに、発明を記載した文章は、著作権で保護されます。
文章なので、ブログ記事と同様に、著作権が発生します。
しかし、著作権として保護されているのは、あくまでその文章そのもの。文字の羅列部分です。
その文章から読み取れるアイデアを保護できる訳ではありません。
新規な電気炊飯器を発明して、その取扱説明書が著作権で保護されても、中の機構は、著作権では全く保護されません。

パンフレットの書き方なんて、いくらでも変えられます。
同じ商品についても、分かり易いパンフレット、難解な表現のパンフレットなどいろいろ作成できてしまいます。
パンフレットなど保護しても、発明は全く保護できません。

さらに言えば、著作物は、「思想又は感情を創作的に表現したもの」である必要があります。
単に、事実を説明しただけの文章は、創作性は認められません。
パンフレットで、発明を保護できる可能性は、ほとんどゼロです。

著作権の登録でそんな簡単に発明が保護できるなら、コスト削減したい大手企業はわざわざお金をかけて特許出願などしませんよね。

<発明に関して、信用できる団体>

特許庁

日本国の特許権を付与する公の組織です。審査に質とか、対応に仕方が完璧とはいいませんが、公の組織なので信用できます(笑)。

日本弁理士会

日本弁理士会は、弁理士の集まりです。
弁理士は、発明等を商売として代理できる唯一の国家資格ですね。
(弁護士もOKですが、弁護士さんは、知財を専門にしている訳ではありません))
「〇〇特許事務所」などの看板をだす弁理士は、すべて日本弁理士会に属しています。

発明推進協会(発明協会)

ここも、準公の組織です。特許庁の委託事業や、特許のセミナーなども行っています。

紛らわしいのは、発明学会です。
ここは、公の組織ではありません。
詐欺の行為があったとして、「知的所有権(著作権)登録」の民事訴訟で敗訴しています。
ここのリンクが参考になります。

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