面白い特許:これで高効率な冷却とエネルギー回収ができる
特許第6518860号「コークス乾式消火設備」
<特許公報の図5>
記事029:JPB6518860
<特許公報の図6>
これで高効率な冷却とエネルギー回収ができる
<ざっくり解説>
この発明は、コークス冷却を行うコークス乾式消火設備に関するものであり、
①仕切壁の建設コスト、保全コストを増大させることなく、スローピングフリューの排出ガス流速制限を解消し、ガス排出量を増加させコークス冷却能力とエネルギー回収能力を増強できる、
②排出ガス流量を安定的に確保しつつ、飛散搬送されるコークスの粒径を制御し、ボイラー側の耐摩耗コストを抑制できる、
というものです。
この請求項1は、
コークスが充填された煉瓦積み構造体であり、上部にプレチャンバー、下部にクーリングチャンバー、その間の、クーリングチャンバー上部に放射状に設けられたスローピングフリューを備え、プレチャンバー上部から赤熱コークスを投入し、クーリングチャンバー下部から冷却したコークスを排出し、スローピングフリューから排出ガスをボイラー側に搬送するコークス乾式消火設備であって、
プレチャンバー内筒下部の安息面上端からクーリングチャンバー内側面の安息面下端までを安息面長さとしたリング状の安息面を特徴とし、
スローピングフリュー入口を安息面上端から安息面下端までの高さ内に設け、かつスローピングフリュー入口が安息面と仕切壁との間の空間で連通していることを特徴とし、
さらに、スローピングフリュー迫り出し長さが400mmを超えないことを特徴とする、
というものです。
図5は、本発明の構造の断面を示すものです。
スローピングフリュー内からのコークス安息面を排除するとともに、安息面の排出ガス噴き出しの偏流を格段に抑制するため、仕切壁5と安息面6の間に空間を設け、リング状の安息面をスローピングフリュー入口7下のクーリングチャンバー内壁沿いに形成させます。そして、リング状の安息面の面積を、ボイラー側に飛散搬送されるコークス粉の最大粒径に基づいて設定します。
具体的には、プレチャンバー内筒下部の安息面上端21からクーリングチャンバー内側面の安息面下端22までを安息面長さWとし、安息面をリング状に形成させます。仕切壁と安息面との間に空間を設け、スローピングフリュー入口を安息面上端21から安息面下端22までの高さに位置させ、それぞれのスローピングフリュー入口を、安息面と仕切壁との間の空間で連通させます。
排出ガスは、プレチャンバー内またはクーリングチャンバー内のコークス層の空隙を通過した後、偏流が格段に抑制されたリング状の安息面から噴き出した後、スローピングフリューからコークス層の通気抵抗を受けることなくボイラー側に排出されます。
コークスはプレチャンバーから漸次降下し、スローピングフリュー内に入り込むことなく、リング状の安息面を形成した後、クーリングチャンバーを降下します。
さらに、本発明の安息面積は、ボイラー側に飛散搬送されるコークスの最大粒径に基づいた安息面の噴き出し流速と、排出ガス流量から求めます。安息面積は、ボイラー側に飛散搬送されるコークスの最大粒径の終末速度を超えないための大きさを確保するようにします。
図6に本発明のリング状の安息面の平面イメージを示しています。左側が本発明であり、右側が従来のものです。
必要な面積を確保する一方で、仕切壁の強度や耐久性を確保したいため、仕切壁による分断がなく、安息面の偏流が格段に抑制するために、安息面長さWを、従来に比べ大幅に短縮させます。
このような一連の構成によって、スローピングフリューの排出ガスを増加させるとともにボイラー側に飛散搬送されるコークス粒径を制御し、安定したコークス品質向上とエネルギー回収を実現するものですね。
この発明についてもっと詳しいことが知りたい方は、この特許公報を参照してみてください。
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