面白い特許:これでよく飛ぶ!!

特許第6452877号「高揚力装置、飛行機の主翼、水中翼船の水中翼、及び飛行機のエンジンカウル」
<特許公報の図11>

これでよく飛ぶ!!

<ざっくり解説>

 この発明は、高揚力装置飛行機の主翼水中翼船の水中翼、及び飛行機のエンジンカウルに関するものであり、流線形に比較して揚力の増加と抗力の減少とを同時に実現できる翼型を提供するものです。

 まず、高揚力装置は、
 所定の仰角が設けられた高揚力装置であって、
 後端部が鋭角状に形成された翼本体部と、
 前記翼本体部の先端側に固定された鋭角部と、
を備え、
 前記高揚力装置の断面における前記鋭角部の先端点の高さ位置は、前記高揚力装置の投影上下中心線に略一致する、
というものです。

 明細書中では、複数の翼モデルについて、所定の測定装置を用いて、各翼モデルの揚力と抗力を評価した上で、本発明に基づく好適な翼モデルM11,M12を選択しています(図11の(B),(C)を参照ください。)。

 ここでは、使用した測定装置及び揚力と抗力の評価方法の詳細は割愛しますが、選択した翼モデルM11,M12を飛行機の主翼に採用した場合のメリットとして、以下の事項があるとしています。

(1)従来に比較してより低速度で離着陸可能になり、従来離着陸できなかった短い滑走路が使用できる。

(2)従来に比較して出力が小さい小型軽量のエンジンを採用できるので、巡航時のエネ
ルギ消費量を低減できる。

(3)従来に比較して積載重量を増加させた輸送機を実現できる。

(4)飛行場等における飛行機の取り回しを容易にする目的で、翼を従来よりも小さく設計することができる。

(5)出力が小さいエンジンを搭載した飛行機や人力飛行機等の離陸、巡航を容易にすることができる。

 この明細書では、翼モデルM10を基準として、翼モデルM11,M12の具体的な評価も行っています。

 翼モデルM11については、

・仰角を3°に設定した場合、翼モデルM10に比較して抗力が84%に減少し、揚力が612%に増加した。

・仰角を5°に設定した場合、翼モデルM10に比較して抗力が82%に減少し、揚力が368%に増加した。

 したがって、翼モデルM11は、抗力の減少と揚力の増加との両方に効果があり、特に揚力増に大きな効果があるといえること。

 翼モデルM12については、

・仰角を3°に設定した場合、翼モデルM10に比較して抗力が66%に減少し、揚力が245%に増加した。

・仰角を5°に設定した場合、翼モデルM10に比較して抗力が64%に減少し、揚力が167%に増加した。

したがって、翼モデルM12は、抗力の減少と揚力の増加との両方に効果があり、特に揚力増に大きな効果があるといえること。

 以上のことから、主翼について、揚力の増加を重視する場合には翼モデルM11を採用し、抗力の減少を重視する場合には翼モデルM12を採用すればよいかもしれませんね!

 この発明についてもっと詳しいことが知りたい方は、この特許公報を参照してみてください。
記事009:JPB6452877
~特許発明も、まずは小さなアイデアから~

Follow me!