面白い特許:これに巡り会っていれば、私もきれいな字が書けたはず

特許第6230884号「習字上達度判定装置」
<特許公報の図1>

<特許公報の図2>


これに巡り会っていれば、私もきれいな字が書けたはず

<ざっくり解説>

 この発明は、書道で書かれる文字列をその部分である画素に分解し、画素ごとの書かれる開始時刻を手本書と比較し練習の上達度を判断し支援する習字上達度判定装置です。

 図1に示された書道撮影装置10は、
①上から練習書11、手本書12、特殊下敷き13と重ねて配置され、下部に一定距離を確保して照明19と高速度カメラ14が設置されたスペース箱16からなる、
②書道撮影装置により書道文字の部分である画素データと書く開始時刻を取得する手段と、
③手本書に書いたときに取得した前記画素データと書く開始時刻と、練習書に書いたときに取得した前記画素データと書く開始時刻を比較する比較評価手段と、
④比較評価手段によって比較評価した結果を、予め求められている他の比較評価した結果とさらに比較することにより、練習の上達度を相対評点する手段と、
を有するものです(請求項1参照)。

 まず、練習書11は白紙の状態で手本書12の上に重ねて置かれ、生徒がこの上に墨で浸された毛筆を使って練習を行い、これが文字の書かれた練習書11となります。

 そして、練習書11は白紙の状態から練習者が手本書12をなぞるように習字の練習を行うと、高速度カメラ14により練習書11として撮影されて、習字上達度判定のための画素データが取得されます。

 手本書12は、図1に示すような形で設置され(但し、練習書11は除きます。)、別途先生により書かれて、上述のような画素データが取得されており、生徒の練習に用いられます。

 例えば、図2は、“お”の字の右上肩の“点”を表していますが、このような文字の部分が存在する升目を画素としており、この図に示すA(1,1)、A(2,1)のように文字を升目に分割し、これらを画素としています。

 このような画素の書く開始時刻Bが高速度カメラ14により撮影取得され、書道の上達度評価のために使われ、必要に応じて保存されます。そして、書道の上達度を評価する方法として、升目分割した升目毎の画素の書く開始時刻を計測し、生徒の練習書11と先生の手本書12との書く開始時刻を升目ごとに比較し、この書く開始時刻が等しい場合に『上達度が良い』と評価します。

 升目ごとの画素の書く開始時刻が全て等しいということになると、生徒は書道の基本動作の「はらい」、「はね」、「とめ」などの技術を習得し、先生の手本書12の運筆に全く等しく、先生の書道における技術に到達し得ていると判断されます。

 従来から「書道学習支援システム」に関する発明などは存在しますが、こういった発明は、仮想的毛筆等の複雑な器具によって、先生の手本書や、生徒による練習書を同じく仮想的に書いて、疑似体験させるもの等ですが、システムそのものが専用の装置になり、高価になってしまう点があるとのことです。

 しかし、この発明によれば、書道の生徒は、汎用の高速度カメラを使用した書道撮影装置により、従来の方法と全く同じような感覚で先生の手本書にそって、書道の練習を行うことができます。そして、コストも低減できるため、書道教室等にも設置できるので、普及させやすいという利点もありそうです。

 この発明についてもっと詳しいことが知りたい方は、この特許公報を参照してみてください。

記事103:JPB_0006057192

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