面白い特許:姿勢制御ができる宇宙飛翔体!
特許第6557835号「宇宙飛翔体およびデブリ除去システム」
<特許公報の図1>
姿勢制御ができる宇宙飛翔体!
<ざっくり解説>
この発明は、宇宙空間を飛行する宇宙飛翔体およびかかる宇宙飛翔体を有するデブリ除去システムに関するものです。
この宇宙飛翔体は、
機体本体と、
前記機体本体よりも飛行方向の一方側に設けられ前記機体本体に向かって凹形状に湾曲するエアブレーキ構造体と、
前記機体本体に設けられ前記機体本体の重心位置よりも前記飛行方向の前記一方側から前記エアブレーキ構造体に向けて噴流を噴射する噴射ノズルと、を有し、
噴射された前記噴流の向きが凹形状の前記エアブレーキ構造体に沿って反転することにより前記機体本体に前記飛行方向の前記一方側に向けて前記噴流の反動力を生じさせる、
というものです。
ポイントの1つは、噴射された噴流の向きが凹形状のエアブレーキ構造体に沿って反転することで、機体本体に飛行方向の一方側に向けて噴流の反動力を生じさせる点にありそうです。これによって、容易かつ確実な姿勢制御が可能になるようですね。
図1に示されている展開されたパラシュート1は、機体本体6からみて飛行方向の後方、すなわち上方に設けられています。パラシュート1は複数本の支持ロープ3により機体本体6に取り付けられており、機体本体6の重心位置Gと噴射ノズル5とを結ぶ直線の延長線上に、パラシュート1の一部が配置されるようにパラシュート1は展開されます。
そして、パラシュート1は傘状をなし、機体本体6から離間する上方に向かって膨出しています。すなわちパラシュート1の底面1aは機体本体6に向かう凹形状に湾曲しています。
宇宙飛翔体100は、機体本体6の重心位置Gよりも上方に位置するパラシュート1に対して噴射ノズル5から噴流Jを噴射し、この噴流Jをパラシュート1の湾曲した底面1aに沿って反転させます。
パラシュート1に向かって噴流Jを噴射することで、月面など実質的に大気が無い環境でも、パラシュート1を傘状に開かせることができ、噴射ノズル5から上向きに噴射された噴流Jは、凹形状のパラシュート1の底面1aに沿って向きを変えて噴流J1となり、更に噴流J1はパラシュート1に沿って流れ、パラシュート1の周縁から噴流J2となって吹き出されます。
どうやら、この噴流J2の反動力Fが上向きの成分(図1の矢印を参照)を有するため、この反動力Fにより宇宙飛翔体100が減速される、いうメカニズムなのかもしれませんね。
こういった発明も特許になる、という意味でも興味深いですね。
この発明についてもっと詳しいことが知りたい方は、この特許公報を参照してみてください。
記事020:JPB6557835
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