面白い特許:これでナット締めも確実!

特許第6557435号「ペアナット、締結構造体および締結方法」
<特許公報の図8>

<特許公報の図15>

これでナット締めも確実!

<ざっくり解説>

 この発明は、緩み止めペアナットおよびこれを用いた締結方法等に関するものです。

 このペアナットの請求項1は、
第1ナット第2ナットとを含むペアナットであって、
 前記第1ナットは、
ネジ孔が形成されたナット本体部と、
前記ナット本体部の上面と、
前記上面を規定する側面と、
前記ナット本体部の上面の反対側の下面と
 を備え、
 前記第1ナットにおける前記ネジ孔の中心軸は、前記ペアナットに対応するボルトの中
心軸と一致しており、
 前記第1ナットにおける前記下面には、前記ネジ孔の径よりも広い下面開口部が形成さ
れており、
 前記第2ナットは、
   ネジ孔が形成されたナット本体部と、
   前記ナット本体部の上面と、
   前記上面を規定する側面と、
   前記ナット本体部の上面の反対側の下面と
 を備え、
 前記第2ナットにおける前記上面には、前記第1ナットにおける前記下面開口部に対応した上面突起部が形成されており、
 前記上面突起部および前記ナット本体部に形成された前記ネジ孔の中心軸は、前記ペアナットに対応する前記ボルトの前記中心軸と一致しており、
 前記ペアナットは、前記第1ナットと前記第2ナットとを前記ボルトに締結する際において、前記第2ナットの前記上面突起部の上面の一部が優先して前記第1ナットの前記下面開口部に接触するような構造を有している、ペアナット。」
です。

 ここで、図面を見てみましょう。

 図面のナット100は、多角形ナットであり、図示した例では六角ナットです。

 ナット100は、ネジ孔30が形成されたナット本体部10と、ナット本体部10の上面11側面15から構成されており、ネジ孔30の内面には、ネジ山31が形成されており、隣接するネジ山31の間がネジ溝となります。

 ナット本体部10の側面15は、六角ナットの場合6面あり、1つの側面15の間には境界線17が存在します。

 ナット本体部10の上面11は、側面15で規定されており、側面15で囲まれた領域における上方に位置する面が上面となります。図示した例では、上面11を全面において平面のものを示していますが、上面11の外縁の一部を面取りしてもよいですね。

 ナット本体部10の側面15には、スリット20が形成されており、スリット20は、ナット本体部10の側面15の一方側から切り込みを入れてなる厚さDの平板状の隙間(平板切り欠き部)にあたります。

 厚さDは、スリット20を規定する下面20aと上面20bとの間の距離のことであり、スリット20の切欠き口(一つの側面15)からスリット端面21までの距離をスリット長さSとして表示しています。

 このナット100では、上面11が傾斜しており、スリット20が形成されていることで、緩み防止とともに締めやすいナットを実現できています。具体的には、上面11が傾斜していることにより、上面11のうちのスリット20が形成されている部位(高位部位)12aが先に接触して、そしてスリット20がつぶれることで変形するので、締めやすい構造となっています。

 特に、締め付けの際にはスリット20がつぶれて、傾斜していた上面11が接触面に対して平行(水平)になるので、接触面に対してしっかりと力を加えることが容易になるし、締結の際には、スリット20がなくなる方向に上面11が変形(主に上下方向に変形)することで、雌ネジ部と雄ネジ部との螺合部分に形成される隙間(バックラッシ)を無くして、雌ネジ部(ナット)と雄ネジ部(ボルト)とを密着させることができ、雌ネジ部(ナット)と雄ネジ部(ボルト)とで強い摩擦力を得ることができますね。

 つまりは、上面11の高位部位12aが確実に接触し、その瞬間にスリット20がつぶれるので、締め付ける力を加えやすく、締めやすいナットを実現できる、ということでしょうか。

 図15は、ナット100同士を締結した状態を示していますが、市販の通常のナットとナット100とで締結してもよいかもしれませんね。

 この発明についてもっと詳しいことが知りたい方は、この特許公報を参照してみてください。
記事021:JPB6557435
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