面白い特許:意外な発明...分子模型!

特許第5913218号「分子模型」
<特許公報の図1>


<特許公報の図3>

<特許公報の図7>


<特許公報の図8>

分子模型も、特許発明になります!

<ざっくり解説>
 この発明は、分子模型に関するものです。中学校や高等学校などで化学の授業で使った、あの分子模型です。分子模型って、原子や分子の構造を説明するときに使いましたよね。

 分子模型には、①球棒モデル、②針金モデル、③スチュアート模型(空間充填模型)などがありますが、それぞれ以下のような改善点があり、この発明ではこういった問題点を改善できるというものです。

①球棒モデルでは、実際の原子間結合には存在しない連結棒を用いているため、初学者には原子相互の実際の結合状態が正しく理解しにくいという点。

②針金モデルでは、実際にあるべき原子の球体がなく、逆に存在しない針金をつかっているため、初学者には原子相互の結合状態が理解しにくいという点。

③スチュアート模型では、原子を表す球体の一部を切除して結合面を形成している場合があるため、真の球体と実際の原子間の結合状態とを正しく表していない場合があるという点。

 それに加えて、本発明によれば、実際の原子間結合を具体的に実感でき、一旦組み替えた分子模型をもう一度分解し、結合部を中心に回動して、ねらいどおりの分子構造に組み替えることができるということです。

 本発明の分子模型(図1、図3ご参照)は、原子を表す球体1であり、
 他の球体1と脱着可能にするための嵌合手段3を有しており、
 この嵌合手段3は、複数の溝部5を、中心部7から平面視放射状に形成されています。

 嵌合手段3は、溝部5の角度幅6と楔部9の角度幅6’との合計角度6aが、結合回転角13の公約数に相当する角度となるよう設計されています。これによって、各球体1を分子構造上相応しい配座の分子構造にさせることができます。

 そして、この分子模型3は様々なモデルにすることができます。例えば、この明細書には、二つの球体を結合させた状態を示す図7や、アンモニア分子を表わす分子模型とカバーとを示す図8が掲載されています。図7のように、2個の球体1をはめ込めるような2原子分子用モデルとすることができますし、図8のように、カバー25をはめ込める構造とすることで、原子の価数を調整できるモデルとすることもできます。

 この発明は、分子模型を実際に使った人だからこそ完成できたのかもしれませんね!分子模型のような、ある意味マニアックなもの(?)でも発明対象になります。

 この発明についてもっと詳しいことが知りたい方は、この特許公報を参照してみてください。
記事093:JPB_0005913218
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