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施工コストや材料コストが低減された五角形のラーメン構造物

特許第6476367号「五角形ラーメン構造物」
<特許公報の図1>

<特許公報の図2>

施工コストや材料コストが低減された五角形のラーメン構造物

<ざっくり解説>

 この発明は、五角形ラーメン構造物に関するものであり、スパンの大小に関係なく利用でき、とりわけ大スパン(例えば、80m以上)にすると材料コストや施工コストがより一層軽減でき、それでいて構造強度が落ちないというものだそうです。

 この五角形ラーメン構造物1は、
 支柱間の距離が40~120mのスパンで立設した支柱11の柱頭から、
 相対的に高勾配の下斜梁14と相対的に低勾配の上斜梁15とを前記記載順に延ばして上斜梁15をスパン中央の頂点で突き合わされ、
 屋根が五角形で構成され、
 その頂点から垂下した圧縮材13の柱頭より低い位置にある下端と柱頭との間に傾斜引張材12を架設して構成され、
 支柱と梁とが剛接合されている、
というものです。

もう少し詳しくみてみましょう。

 図1は、下斜梁を30/100勾配、上斜梁を10/100勾配とした場合のラーメン構造物1の正面図であり、
 図2は、そのフレームの模式図を示しています。

 使用する部材としては、例えば、
 支柱11、下斜梁14及び上斜梁15が同規格のH型鋼
 圧縮材13が丸パイプ
 傾斜引張材12がアングル材です。

 そして、下斜梁14及び上斜梁15が1/4スパンの同じ水平長さです(図2参照)。

 接合については、例えば、
 支柱11、下斜梁14及び上斜梁15が、剛接合、
 傾斜引張材12同士が、剛接合、
 柱頭に対する傾斜引張材12が、ピン接合、
 頂点及び傾斜引張材12に対する圧縮材13が、ピン接合、
とすることができるとのことです。

 なお、詳細は割愛しますが、この明細書の実施例において、スパン=40m,60m,80m,100m,120mとした場合の実験を実際に行っており、それぞれの場合において、従来の山形ラーメン構造物よりも構造強度、材料コスト、施工コスト等が優れていることが検証されています。

 このように、発明の効果が、実験データによって裏付けられていると説得力がありますね。

 ちなみに、この発明者は建築士事務所の方のようです。プロの視点でなされた発明だけあって、この発明の工法は、実際に活用できそうですね。それに、五角形のラーメン構造だなんて、デザイン的にも面白そうですね。

 この発明についてもっと詳しいことが知りたい方は、この特許公報を参照してみてください。
記事111:JPB 006476367
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