「発明をした」と思ったら、やって頂きたいこと。それは・・・

特許出願の本などでは、「特許出願の前に、自分で先行技術調査をしましょう」と書かれています。
そりゃそうですよね。
特許にはお金が掛かりますから、すごいと思った発明でも既存の技術だったら特許出願しても無駄です。
ただし、ただ調査すれば良いというものではありません。
調査のメリットとデメリットについてお話します。

先行技術調査のメリット

先行技術調査をすれば、あなたの発明に近い先行文献がヒットします。
類似した発明がこの世の中に全く無かった、などということは、まず無いでしょう。
「あ~、同じようなことを考えた人がいたんだ~」とがっくりすることもあるかと思います。
でも、そこので諦めないで、その文献の内容との差異が無いかよ~く考えてみる。そして、類似文献と差異が出るようにさらに改良する。
そして、どんどん良いものにすれば、結果として発明の価値は上がりますし、特許性を高めることもできます。
「先行文献の内容と同じで、違いが出せないよ~」という場合は、残念ながら諦めることになりますね。
無駄な出費を回避できます。

先行技術調査のデメリット

先行技術調査は、良いことだらけな感じがしますが果たしてそうでしょうか?
たいていの特許の本には、先行技術調査をしましょうと書いてありますが、実際、どんなときも重要とは限らないと思います。
実は、デメリットもあります。

意外と危険な先行技術調査

あまり早い段階の調査は危険だと思います。
実際に調査すると、似た発明を開示した文献がバンバン出てきます。
「な~んだ、自分の発明なんて大したことなかった」と思ってしまうでしょう。
そうなると、普通の人だといっきにやる気を削がれてしまいます。
あきらめるきっかけになってしまいます。

他人のアイデアを見ると、そのアイデアに引きづられて自由な発想が奪われてしまうこともあります。
文献には、それほど詳しく記載されていないのに、勝手な思い込みでいろいろと記載されていると信じてしまい、自分の発明は特許が取れないと誤解してしまうこともあるでしょう。

実際、特許をバンバン取得している発明家の中には、「自分のアイデアは最高だ」と信じているので、先行文献調査は一切しないという人もいます。

このような理由から、調査は、発明がある程度熟した頃にしましょう。
最初は、自分を信じて突っ走った方が良いと思います。
「発明はある程度完成した。特許出願してみようと思う」という段階で調査すれば良いと思います。

この段階で行う調査は、あくまで出願の方向性を見定めるため。
特許庁の審査官が行う調査とは質が異なります。
調査を弁理士に頼んだとしても、その調査結果によって、絶対に特許が取れるとも取れないとも言えない場合が多いです。

最終的に特許となっている発明のほとんどは、1回は拒絶された後、反論して特許になっている

最終的に特許になっている発明の殆どは、特許庁の審査過程で少なくとも1回は、「先行文献に類似している」という理由で拒絶されています。
そうなんです。必ず1回は、拒絶されるのです。
審査官に何も言われないでストレートで特許になることは、きわめて稀です。
ほとんどのケースで、「先行文献の発明に類似している」と拒絶され、それに対して、「いやいや、先行文献とはこういう点で異なります」反論して、特許になっているのです。
つまり、ぎりぎりを攻めていくのです。

発明の概要を聞けば、類似文献を調査することは、経験を積めば誰でもできます。
しかし、それで特許性を判断するのは、とても難しいことです。

先行技術調査は、J-platで

先行技術文献調査は、特許庁のJ-platpatが良いです。
最新のDBがほぼリアルタイムに更新されています。
使い方は、慣れる必要があります。
キーワードの入れ方で、ヒットの仕方が全然変わりますので素人の方は、あくまで目安程度と思っておきましょう。
きちんとやってほしい場合は、弁理士さんに依頼しましょう。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

他にもインターネット上の無料の特許検索サイトがありますが、データベースが更新されているのか不明ですので、利用する場合は気をつけましょう。

「ステップ3:特許出願をしよう 」を見る